外国で病気になると大変なことになることがわかりました。言葉は通じない、言葉はわからない、「頭が痛い」とか、「おなかが痛い」、「熱がある」など基本的な病気の言葉が出てこないのです。
私は、タイの自動車工場でビオトープの設計・施工管理を請け負いました。企画打合わせから完成まで、合計8回ほどのタイへの旅でしたが一度だけ病気になりました。
タイへ何度も渡航した先輩諸氏からは、「タイでは食中毒に注意するように。」、と次のような注意事項を頂きました。
<タイでの心得>
1 レストランでも、ホテルでも生水は飲まない。必ずペットボトルの水を飲みなさい。
2 生野菜、くだものも注意しなさい。汚れた水で洗っている場合があります。
3 80バース(1バースはおおよそ4円ですから、320円)以下の値段のランチ(食事)は注文しない。安いお店はその分、危険が伴います。
4 屋台で食事はしない。屋台では食器はバケツの水で洗い、何度も使い回しをします。
|
それでは、まず、私のタイでの1日をご紹介します。朝食はホテルのバイキング。できるだけ野菜は食べず、水は飲まず、パンにジャムを塗り、牛乳をコップ飲みし、そしてコーンスープで腹ごしらえです。ホテルの部屋の冷蔵庫にあるペットボトルを1本持ち出し、ロビーで待ちます。朝7時になると、建設業者の車がホテルに迎えに来ます。埃っぽく、座席が土でザラザラした感じの自動車に乗り、2時間かけて、ビオトープ建設現場へ向かいます。
現場ではしばらく仕事をして、お昼になります。今度はタイ人の運転手がレストランに案内します。下の2枚の写真でもお分かりと思いますが、信じられないレストランです。そして、再び午後3時ごろまで仕事をして、また2時間かけてホテルへ帰ります。到着時間はおおよそ午後5時です。仕事仲間の日本人と食事をするまでの間、タイ・マッサージに行きます。2時間で400バース約1,600円です。マッサージをしない時は街へ出てお店を覗きながらお土産を買います。午後7時ごろからシンガービールで乾杯し、食事になります。そして午後9時ごろホテルへ帰り、あすの7時までお休みです。
一般的に観光旅行といえば、きれいなホテル、きれいなレストランとお決まりです。しかし、私の旅は観光旅行ではありません。れっきとした仕事です。部屋が狭いビジネスホテル、食堂は地元のタイ人が利用する、日本でいえば一膳飯屋のようなところです。
☆ それでは病院にお世話になったお話をします。
ある日、いつものように午前7時、ロビーに集合して仕事に出かけました。36℃という暑さの中でビオトープの設計書と現場の工事状況を見比べ、修正工事の打ち合わせです。2時間ほど暑さの中を歩きヘトヘトでした。お昼になりましたので、例のごとく写真のレストランへ行きました。何を食べてよいのやら、何が食べられるのやら、皆目わからないので、注文は運転手さんにお任せしました。厨房では無精ひげの料理人がフライパンを上手に動かして何か炒めものを作っています。炒め物ならば食中毒はないな。ペットボトルの水は持って来ているし・・・・。
注1.青いTシャツは料理人、白いTシャツはウエイター
注2.右後方に私達が食べるライスが準備されている
注3.手前はライスを乗せる皿(汚い布で拭かれた後、積み上げてある)
注4.左後方はカマドで、ここでフライパンを使い料理された。その後方は隣の塀
注5.どこにも壁はなく、キッチンとの仕切りもなく、オープンなレストラン
注6.画面右側へ行くと食事をするテーブルが並んでいる。
写真―1 田舎のレストラン(とても衛生的とは思えません)
しかし怪しいな、ご飯の皿はあまりきれいな布で覆ってありません。まあいいか、それほど汚れているものではないし、フライパンで炒めているし・・・・。と思い、スプーンをティッシュで拭き(写真―2)、炒め物から手をつけました。辛くて辛くて、頭のテッペンからドーンと火山噴火を起こすほどでした。でも、これしか食べるものがありません。ペットボトルの水をコップに移し少しづつ飲み、辛さを抑えてどうにか食べ終えました。
注1.アルミ製のすぐ曲がりそうな、スプーンとフォークで食べます。
注2.その前にスプーンとフォークはティッシュでゴシゴシと拭きます。
注3.おかずはみんなで突っつきます。
写真―2 レストランのテーブルでの食事風景(正に当日)
午後からまた暑い中で仕事です。すると、午後2時過ぎから、お腹がゴロゴロと騒ぎ始めました。ホテルへ帰ると下痢が激しくなり、正露丸を飲んでもおさまりません。その後、辛抱しながら食事もせずに寝てしまいました。
☆ 病院にて
翌日は、何ともならず、同僚に携帯電話で連絡し、病院へ連れて行ってもらいました。受付窓口は日本語が分かる女性職員(多分日本人)、診療も日本語が分かるお医者さん(タイ人)、そして、診察の結果、食中毒という診断です。脱水症状でしたので点滴をすることになりました。
ここからが問題です。看護士の人は日本語がまったくと言っていいほど、だめでした。多分20才前ぐらいの若い女性のタイ人の看護士さんは、言葉は通じませんが、いつもニコニコして対応してくれました。とにかく身振り手振りで会話します。ベットへ寝なさい、右腕を出しなさいなどおおよそ内容が分かりました。なかなか良い雰囲気だなあ・・。いつもニコニコしているし・・・。ベッドを離れる時は「バイ バイ」、なんちゃって私に合図するし…。
点滴が始まり少し落ち着き始めた時のことです。点滴の効果でしょうか、トイレに行きたくなりました。ここからがさらに問題でした。
トイレに行きたいので、呼び出しボタンを押しました。すると例の看護師さんがやってきました。いつものニコニコ顔です。私は身振り手振りで「おしっこ…。」と訴えても、ニコニコしているだけです。ついに、おしりの方を指さし、「おしっこ・・。」と言ったら、看護士さんはニコニコして、「ウンチいらない。」というのでした。どうも、検便をしてほしいと訴えていると勘違いしているようです。まったくわからない人だなあと必死に身振り手振りで訴えました。そうして、もう一度おしりの前の方を指さし「おしっこ・・・。」というと、若い看護士さんはびっくりして、看護士のチーフのところへ飛んで行ってしまいました。なぜかわからずキョトンとしていると、しばらくして、年配のおばさん看護士さんが来て、日本語で「ドウ・シマシタカ。」というのです。私の「おしっこ。」という言葉にすぐ反応してトイレに連れて行ってもらいました。
ああ、やれやれ・・・・。危機一髪でした
注1.発行していただいた坂部孝夫の診察券(表側)
注2.何かわからないけど、TAKAO SAKABE だけは判った。
注3.海外保険に加入して出発したので費用は一切“タダ”でした。
注4.帰国後に地元医院で再診しましたが、やはり”タダ“でした。
写真-3 病院の診察券(1回使用したのみ)
(反省)
その1 郷土料理や名前の知らない料理を食べるのはやめましょう。
その2 若い女性(看護師さん)と2人だけで仲良く・・・、と思ってはいけない。
その3 身振り手振りは限界がありました。タイ語は覚えるべきでした。(タイでは英語は通じないのです)
その4 お腹をこわしたとき、日本のくすり(正露丸など)は全然効果ありません。
注1 やはりみんなでおかずを突っつきます
注2 右側の人は現地採用の運転手さん
注3 テーブル上の左後方、4種類の調味料は、①魚醤、②ラー油、③からしの粉末、④砂糖
注4 私は手前に座り、ご飯とうどんらしきものを主食としました
写真―3 レストランのテーブルでの食事風景