仕事で海外へ行くと、英語にあまり堪能ではないと、とんでもないトンチンカン現象を起こします。がんばって英語で話さなくても、大きな声で日本語でシャベルとなんとか通じるものです。ホテルのロビーでも、キザに英語で話さなくても、日本語で『チェックインお願いします。』と大きな声で言えば、日本語のわかるフロント係が奥から出てきます。
お金の感覚も、時差ぼけの様に、感覚がマヒします。こちらは頭の中で素早く日本円に換算することが望まれます。
ここでは、楽しく、恥ずかしいトンチンカン・バカ話を4つほどご披露します。
<シンガポールにて、その1>
このお話は、愛知県職員、いわゆる現職の時、すなわち、「飛行機の中で」という第1話の続き、シンガポールに無事到着して、数日後のお話です。
シンガポールでは、お土産物を売る人がお店の前で日本語で「1000円、1000円」と言って大きな声で客呼びをしています。『しぇんえん、しぇんえん。』と聞こえます。私の頭脳は、どうも、一度、二度と頭の中で日本語に置き換えて、日本語で理解しようとしているようです。
丁度その日は予備日となっており、時間がありましたのでシンガポールのセントーサ島モスク寺院、ヒンズー教寺院などの観光めぐりをしました。ちょっとしたお土産物店の前で、何か面白いお土産はないかなぁ、とみんなで、店先でウロウロ、キョロキョロしていました。すると、奥の方から、店員さんらしき女性の人が手招きをしながら言うのです。
女性店員さん:「コームイン。コームイン」(かなり激しく手招きしている)
私:「あれっ。公務員と言ってるよ。何で僕たち公務員とわかるのかなぁ。」
A氏:「何か、風貌から見てわかるのでしょうかねぇ。」
B氏:「坂部さん、あなた、ネクタイしているでしょう。その辺からの判断でしょうね。」
(3人が、キョロキョロ、モジモジしていると、その女性店員さんが、こちらにやって来て……。)
女性店員さん:「コームイン。コームイン」(ニコニコして、奥へ案内するのです。)
(奥に入ると、再び、)
「しぇんえん、しぇんえん。コレ、全部しぇんえんナノヨゥ。コレ奥様にニアウデショウ。」「コチラモアルヨ。コームイン・・・ヒアー」とさらに奥へ招き入れるのです。
Aさん:「わかった。公務員じゃないですよ。カムイン、カムイン(come in . come in)ですよ。」
私:「なあんだ。そうか。ネクタイだけで公務員とわかる訳がないじゃん。」
B氏:「私は、その前に、店員さんが『公務員』という言葉を知っているはずがないと思いましたよ。ワッ、ハッ、ハー・・・ッ。」
反省(その1):会話では、外人の言葉を日本語に近づけて、頭の中でぐるぐる考えてはいけません。
反省(その2):すでに「A定食、B定食」で失敗しているのに、再度失敗とは大いに反省です。
反省(その3):B氏の裏切り者め~っ。(裏切り者は何処にもいるものなんですね。)
注1.スズ製の小物入れです。(私のレベルでは、かなり高価な品でした。)
注2.子供の下にある、王冠がスポッとはずれて(取れて)、指輪などを入れます。
注3.姪っ子へのお土産と思ったのですが、何故か、女房のものになってしまいました。
写真―1 その時、シンガポールで買った小物入れ
<シンガポールにて その2>
シンガポールへ行く時の楽しみは、お土産を買うことです。そして、値切ることです。シンガポール観光案内書を読むと、「お土産物を売るお店では、値切ることが必要です。その交渉もまた、旅の楽しみにひとつです。」と書いてあります。現地ガイドさんに聞いても、「値切ると半分の値段まで下がることがあります。必ず、値切ってください。」という説明でした。
私は、常々女房殿から、値切ることが上手と言われていますし、時と場所によっては、「お父さんと一緒に行くと、すぐ値切るので、一緒に買い物に行くのが恥ずかしいわ。」とおっしゃる。それでは、シンガポールの値切りの腕まえをご披露します。
シンガポールでは宝石、ネックレス、指輪などがお土産として売られています。女房殿の手前、ここはひとつ買ってやらねばと思い、あるデパートへ入りました。
女房:「これなんか、どうかしら。」
私:「う~ん。ちょっと若向きかな。」
女房:「そんなことないわ。私に似合っているんですもの。」
(しばらくして、女房は……)
女房:「これもいいわ。2つ買おうかしら。」
私:「2つも買うのか。ちょっと贅沢ではないでしょうか。」
女房:「私、ネックレス、そんなに持っていないもの。いいじゃないの、たまには・・ねっ。」
私:「なくしても、悔やまない程度のものにしなさい。それちょっと値段的に、高価すぎるのではないかねぇ。お母さん。」
女房:「そんなこと、ないわよ。ええっつと、もっと、よい品物ないかしら。」
私:「まあ、毎月買う訳でもないし、いいよ、好きなもの買いなさい。」
(結局、ネックレスを2つ買うことになりました。私がアドバイスしたように、無くしても、壊れても悔やまないものを2点、選びました。そして、私の出番、『値切り』を始めます。会話は、日本語と英語のちゃんぽん会話でした。)
店員さん:「30シンガポールドル。OK?」
私:「ノゥ~。20シンガポールドル、OK?」
店員:「OH~!ノゥ~。」(と言いて、固まってしまいました。)
そして、しばらく、気まずい沈黙があったのち、店員さんはお店の奥へ入って行き、しばらくして、再び、出てきたその店員は多分、店長に相談した模様です。
店員:「30シンガポールドル、OK?」(やっぱり駄目です、30ドル、と言いました。)
女房:「お父さん。お父さん、30シンガポールドルは、日本円で2,100円ですよ。それを値切るなんて、20ドルは1,400円ですよ。」
私:「そうか・・・。低レベルでの戦いは、無理があったか、む~っ、残念。」
女房:「お父さんと一緒に買い物に行くのが恥ずかしいわ。」
反省(その1):女房殿の前で、『私は、旅慣れした国際人だぞぅ。』、なんて良いところを見せようと思うことが、そもそも無理があったのです。お父さんは、まだ国際人ではありませんでした。
反省(その2):旅行ガイドブックに書いてあると言って頑張ってはいけません。
反省(その3):数万円レベルでの『値切り』は旅の楽しみの一つと言えるかもしれないが、低レベル(低料金)での戦いは無理があったようです。
注1.無くしても、壊れても悔やまないものを買いました。
注2.フックの所は、やや、やりにくい構造になっていました。
注3.2つとも、今でも現役で活躍しています。
写真―2 シンガポールで買った例のネックレス
<カナダ バンクーバにて その3>
愛知万博の開催の迫った時期でした。私は、愛知万博の宣伝と世界こども環境会議の誘致のため、カナダ、アメリカへの出張をしました。メンバーは愛知県から2名、2つの市から2名ずつ4名の参加で、計6名の旅です。当時は名古屋空港からの旅立ちでした。午後2時集合です。私は当日、家からカジュアルなスタイルで出発です。市の人もおおよそカジュアルな服装でしたが、県から参加のもう一人は、午前中、重要な会議を終えてからの出発で、ネクタイとスーツという出で立ちです。
全員集合したので、旅行社である“JTB”の係員から、それぞれ航空券をはじめとしてチケットひと揃えをいただき、旅の注意を聞きました。
JTBの人:「北アメリカ地域は、9.11のテロ事件の影響でチェックが厳しいので注意してください。」
市の参加者A:「何か、注意することはありますか?」
JTBの人:「入国審査で、何のため来ましたか?と聞いたら、『サイト シーイング(観光旅行)』と言えばいいです。いいですか。迷った顔や態度はいけません。」
みんなで:「サイト シーイング、サイト シーイング。」(頭の中へ叩き込みました)
『エアー・カナダ』で、いよいよフライト。1週間の旅立ちです。
JTBの係の人が手を振って、「行ってらっしゃい。」
全員、ちょっとはしゃいで「は~ぃ。」
日付変更線を飛び越えて、8時間のフライトで、翌日の朝にバンクーバーに到着しました。そこは大きな空港でした。飛行機を降りて、みんなが行く方向へ歩くと、入国審査官のチェックがありました。
入国審査官:「旅行の目的は?(もちろん、英語での質問でした。)」
私ともう一人の県の人:「サイト シーイング。」
入国審査官:「ノウー。」
あれ、JTBと話が違うなぁ。どうしてだろう、と考えていると、よくよく聞くと『ネクタイしていて、観光旅行はないでしょ。』という意味の入国審査官の発言でした。しかたがないので、空港券をはじめとするすべてのチケットを出して日本語で説明することとしました。後ろで順番に並んでいる人たちは、隣の列に移動し、どんどん行ってしまいます。
入国審査官「パス。」と言って通してくれました。(ラチが開かないので、『行け。』、という態度でした。もう、一生懸命、説明したのに……。)
私:「やれやれ、とんだ所で、出鼻をくじかれましたねぇ。」
県の人:「やぁ、申し訳ない。ところで次はどうすれば……。」
私:「この人たちに付いていけばいいじゃないですか?」
しかし、どうも様子が違います。あとの4人がいません。荷物を受け取る所へ行っても、私たちのキャリーバッグがありません。おかしいなぁ・・。
荷物がないので、困った挙句、近くにいる安全性の高い女性空港職員(黒人)にむちゃくちゃ英語で聞きましたら、空港券を見て、あなたの荷物は、3つ向こうのラインですよ、と教えてくれました。
そしたら、向こうに、2つのキャリーバッグが、淋しそうに、ぐるぐる回っていました。
反省(その1):JTBの説明を絶対的なものと思ったのが間違いでした。『サイト シーイング』とは、姿かたちも『サイト シーイング』でなければいけないのです。勉強になりました。
反省(その2):みんなが行く方へ行けば間違いない、という考えはやめましょう。入国審査官に捕まっている間、東京からの便が到着して、日本人がわんさと移動していました。私たちはその人たちに付いて行ってしまったのです。
反省(その3):何かわからないことがあったら、そこの施設の女性職員に聞くことが最も安全です。しかも、年齢の高い方の女性が安全。(私の経験です。)
注1.旅行中、寄り道したボストンのにぎわいです。(もちろん美術館へ行きました。)
注2.街中では、このような大道芸人グループがたくさん演技をしていました。観客も、日曜日でないのに、たくさんいました。
注3.ボストンでは、大西洋産の牡蠣(カキ)を美味しいワインでいただきました。
写真―3 ボストンの街で演技する大道芸人
<カナダ トロントにて その4>
旅も4日目になると、少しは自信がつくものです。バンクーバーでの失敗にもメゲズ、旅はいたって快適です。タクシーに乗ったら、頭にターバンを巻いている運転手さんです。最初はビックリしましたが、『世界は広い、何でもアリ。』と思い乗っていましたら、車内があまりにも暑いので、どのように話そうかと思っていたら、運転手さんも暑いのか、ターバンを取ってしまいました。何と、ターバンの中は、5分刈りのイガグリ頭でした。「そうか、中はこうなっているのか。」、などと変なところに感心してみたり、かなりの余裕でした。でも、失敗は重なるものです。
カナダのトロントからアメリカのハートフォード空港(ニューヨークの近郊にある空港)へトランジットするのです。例のごとく、入国審査官がいます(トロントでは、アメリカの入国審査官がカナダへ来ており、アメリカの空港では、到着すると審査なしで外へ出られます。非常に合理的です。)6人は、自信ありげにそれぞれ審査を受けるほどの上達ぶりです。それぞれ違う列に並びました。
A君は向こうの列に並び、今まさに審査を受けようとしていました。私は、とりあえず『パス』しましたが、彼はというと、何か喋っています。なんだろうなあ。A君は、メガネをかけて、首には自慢のソニーのデジタルカメラ、手にはガイドブックという、超日本人的な姿での審査官との対話です。
☆ 彼と審査官との対話を再現しますとこうなっています。
入国審査官:「オーリンパス」
A君:(なんですか、オリンパス?冗談じゃない、今回の旅行のために、わざわざ、無理して買ったソニーのデジタルカメラをオリンパスはないでしょう、と思ったのか、)「オゥー、ノゥー。ジス、イズ、ソニー・デジタル・カメラ!!」
入国審査官:「プリーズ」(どうぞ。)
入国審査を終え、みんなと一緒になってから、このことを私たちに話すのです。
A君:「まいったなぁ~。オリンパスはないよね。カメラの頭の部分に、しっかりとソニーと書いてあるのに・・・。」
私:「そうだよね。あの審査官、何考えているのかねぇ~。」
B君:「それにしても、日本のカメラと言えば、キャノン、ニコンと相場は決まっているのに、オリンパスとはねぇ~。」
(しばらくして・・。)
C君:(私たちより英語に堪能な人)「オリンパスじゃなく、『フォーリンパス』じゃないですか。」
A君:「へぇー。フォーリンパスですか。何だろう。」
C君:「フォーリンパスとは、出国OK,という意味ではないですか。カナダから、アメリカへ出国しても良い、という意味と思います。」
B君:「私は、そもそも、ソニーを知らず、オリンパスを知っているって、おかしいと思いましたよ。」
A君と私:「大変、ご無礼を致しました。」
反省(その1):やっぱり、英語は難しいですね。フォーリンパス、ツエルブ、オー、オー、などは何度も経験しなければいけないのでしょう。
反省(その2):A君と一緒になって、考えてはいけません。客観的な判断が求められます。
反省(その3):やっぱり、どこにも裏切り者は居るのです。この裏切り者め~。
注1.覚えていませんが多分、デトロイト空港です。
注2.12:00出発の飛行機の案内は「ツエルブ、オー、オー」と言っていました。学校で習った英語とは格段の違いがあります。
注3.「ツエルブ、オー、オー」と何度も放送案内しているのに、理解できず、もう少しで乗り遅れる(日本に帰れない)ところでした。
注4.海外旅行では、乗り換え(トランジット)が難しいのです。
写真―4 外国の空港にて