第35話 アンポンタン老人、中部国際空港開港20周年誌に投稿
中部国際空港(通称:セントレア)は2005年に開港しました。これは、愛知万博の開催と時期を合わせたものでして、愛知県は全国から驚きの目で注目された時期でした。
私は、この時、中部国際空港建設に携わり、空港開港に伴う環境問題の調査・対策に奔走していました。8人のメンバーの責任者でして、毎年数億円の調査費を使い、伊勢湾とその周辺の環境調査やボーイング747・ジャンボ機を空港建設予定地の上空200mに旋回させ、地域住民に飛行機の音を体感して頂きました。そして、深夜も飛行機が飛んでいる外国の空港や日本中のほとんどの空港を環境対策という面から視察して回りました。
今回、200人もの人が集まった記念式典に参加するとともに、当日配られた『中部国際空港開港20周年記念誌』(101ページ)にシンガポール、チャンギ空港を視察したお話を投稿しましたので、その内容を紹介します。
それでは始めます。いつものように「笑わないで」ください。
記念誌の投稿ページ
シンガポール・チャンギ空港調査
坂部 孝夫(愛知県航空対策局 1992~1994年度)
空港に関する地域住民の最も関心の深い環境課題は、「騒音」です。このため、平成5年(1993年)1月に24時間開港の空港であるシンガポール・チャンギ空港について、多方面にわたり実情を調査し検討を行い、住民の航空機騒音に対する不安に応える材料を収集しました。参加者は愛知県、(財)中部空港調査会、中部新国際空港建設促進協議会、常滑市職員で、関係者が連携して調査を実施しました。
シンガポール・チャンギ空港調査員
シンガポール・チャンギ空港調査員
前列左から、坂部(愛知県)、林(常滑市)、新妻(空港調査会)、後列左より奥田(愛知県)、
岡田(空港調査会)、家永(常滑市)、伊藤(促進協議会)、後藤(愛知県)(敬称略)
シンガポール・チャンギ空港は世界屈指のスーパーエアポートであり、24時間フルタイム稼働の空港で、当時、年間1,630万人が利用する空港でした。調査団は、①航空機騒音の実態調査、②空港施設に関する調査を目的に、1月26日から1月30日の5日間滞在し多くの知見を得ました。以下、調査結果を概略的に述べます。
①航空機騒音の実態調査
航空機騒音の測定は1月28日午前4時から29日午前4時までの間、食事等に要した時間を除き連続測定を実施しました。騒音測定を行った飛行機は計123便です。測定場所は第1滑走路から0.9km、第2滑走路からは2.6km離れていました。運行状況を見ると昼間、夜間、早朝の割合は、6:2:2でしたが、午前0時から午前7時までは1時間に数便程度でした。騒音測定の結果は第1滑走路使用の航空機は70dB~80dB台が大半であり、第2滑走路ではほとんど60dB台でした。また、昼間、夜間、深夜・早朝の時間帯別の騒音レベルの差はみられませんでした。
測定風景と飛行機
深夜の騒音測定風景 / 早朝、離陸し密林上空を飛ぶ飛行機
②空港施設に関する調査
これまで書物等を通じて見聞きしているとおり、チャンギ空港はゆとりある快適な空港でした。さらに、単に空港自体の魅力だけでなく、シンガポールにおける商業・金融、コンベンション、観光などの諸機能の展開を背景に、空港と都市が連携して、まさに国全体がひとつの空港都市(Airtropolis)を形成して行こうとする意気込みが感じられました。ちなみに、空港内を案内していただいた広報担当のミス・オングさんは背が高く、中国系の美人で、丁寧な対応をしていただき、調査員全員が満足顔でした。
ミス・オングさんとの記念撮影
チャンギ空港視察中に、ミス・オングさんと記念撮影(全員ニコニコ顔)
おわりに
チャンギ空港調査は大きな成果を得て終了しました。セントレア建設構想に大いに参考となったものと思います。参加者はそれぞれに多くの思い出を持っています。測定中に大きなトカゲに遭遇した。列車で国境を渡った。「カムイン、カムイン」を「公務員、公務員」と聞き間違えた。機内食で添乗員から「えぃ、びぃ?」と聞かれて。「A定食」と答えて恥をかいた(答は「エィビィ・フライでいいですか?」でした)等々。
でも、今でも新鮮に記憶に残った素晴らしい経験でした。本当に感謝です。
参考資料
1 シンガポール・チャンギ空港調査報告書
  1993年3月 シンガポール・チャンギ空港調査員一同著
2 坂部環境技術事務所ホームページの随筆「坂部孝夫のトンチンカン先生」のうち
  『第1話 飛行機の中で』 (大失態:出鼻をくじかれた「漫遊記」。)